「そりゃ決まってる。前者だ。」
「なぜ決まっていると、そう言い切れる?」
「だって人形は人間を模して造られたものだろ。」
「そうだな。だがそれは人間が先に存在していた場合にのみ正答とされる回答だ。」
「どういう意味だよ。」
「もし人形が人間よりも先に存在していたら?人間の方が人形を模して進化したものだとしたら?先程の君の回答は誤答となる。」
「そんなバカなことあるもんか。」
「だからなぜそう言い切れる?君は有史以前に人形よりも先に人間が存在していたという事実の証明が出来るのか?」
「それは……。でも、なら逆に聞くけど、人形が人間よりも先に存在していた事実の証明を、あんたは出来るのかよ。」
「うん。今の君の回答は正答だ。現時点での事実、どちらが正答かはその証明は出来ない。だがあくまでも仮説ではあるが、そのような可能性もあるということだよ。」
「そんなまさか。」
「あり得ないと思うかな。でもこの仕事をしているとね、何もかもをも疑わないといけないんだよ。あり得ないということはあり得ないんだ。」
「それ、あり得ないということはあり得ない、ということはあり得ないってことになるんじゃないか?」
「正答。だからね、ぼくの仕事は無限に連なるパラドックスのループから脱却することなんだよ。」
なんか思い付いたんで。
ここでいう「人形」とは、ヒト形ロボットということで解釈して下さい。