2011年04月03日

忘れてないですよ?

アララギ「ハーイ、サナ!」
サナ「アララギ博士!?お久しぶりです。」


〜第九話〜
・到着!アミューズメントシティ・


ヒウンシティから続く砂漠の4番道路を越え、次のライモンシティへのゲートに入ったところでアララギ博士が待っていた。
アララギ「どう?ポケモン図鑑の調子は。」
サナ「ええ、まぁそこそこだと思います。」
アララギ「それは何よりだわ。ところで聞いたんだけど、ベルの件。大変だったわね。」
サナ「はい。でも大丈夫です。ベルも私も、強くなってますから。」
アララギ「あら、頼もしいわね。あ、それでね。アナタ達に渡したいものがあるの。はいコレ。」
手渡されたのは黒と金色でデザインされたモンスターボール。なんだかデザインがカッコいい。
アララギ「ハイパーボールっていってね、スーパーボールよりも捕まえやすい高性能なボールなの。ワタシからのちょっとしたお小遣いね。」
サナ「もしかしてこのためにずっと待ってたんですか?」
アララギ「まあね〜。元々カミツレに呼ばれたからなんだけど、ここで待っていれば、街の中よりもアナタ達に会える確率は高いでしょ?……あ、それとこれは他のふたりには内緒ね。」
サナ「……?チケットですか?なんの?」
アララギ「リバティチケット。リバティガーデン島って島に行く船の乗船券。」
サナ「船の?」
ということは。
アララギ「そう。ヒウンシティから出てるわ。……うん。言いたいことは分かるわ。でも手に入ったタイミングが悪くてね。ホラ!マコモって覚えてる?サンヨウシティの。」
サナ「ええ、もちろん。」
アララギ「彼女、夢の研究してるでしょ?前々から学会からは期待されていて、先日の完成を機に表彰受けたのよ。ソレはその副賞。だけど、彼女がなかなか研究のこと以外では出不精でね。それで一番強く携わってくれたアナタにって頼まれたの。」
つまりこれはマコモさんから私へのプレゼント!
アララギ「期限はないみたいだけど、そうね。せっかくあそこに行くんならあったかい時期の方がいいわよ?避暑地で人気な島だから。」
ならなんでこの寒い時期に学会はくれたんだろう。
アララギ「副賞はいつもそれなのよ。」
さいですか。
アララギ「じゃあアタシからは以上ね。何か質問とかある?」
サナ「いえ。ありがとうございました。」
アララギ「さてと。あとはベルだけね。」
サナ「ということは、チェレンはもう?」
アララギ「ええ、一番乗りだったわ。」
シッポウシティ以来全く会っていないけどアイツ、ヒウンでの事件知ってるのかな。


チェレン「ああ、それならベルから聞いたよ。」
サナ「そうなんだ。」
街に入ってからライブキャスターでメガネにクセ毛のアンチクショウに連絡を取ると、相変わらずドライな回答だった。
サナ「ところでアンタいまどこなの?」
チェレン「ライモンジムでボルトバッチを手に入れたところさ。サナ、あとで勝負しよう。」
サナ「んー、気が向いたらね。」
そこで通信を切ると、何やら人だかりができているのに気付いた。近くを通りながらさりげなく覗いてみると、プラズマ団がふたり。おじいさんに絡んでいた。

したっぱ1「話の通じないじいさんだな。いいからよこせと言っている。」
じいさん「主らこそ分からん奴らじゃの。断固として渡さんと再三言っておろうが。」

なるほど。助けたいけど助けられない。これはそんな人だかりか。
サナ「はぁ。メンドーだなぁ。」
おっと、アイツの口ぐせがうつったかな。

したっぱ2「仕方ないですね。では力づくで頂くとしましょう。」
サナ「は〜い、そいじゃそのケンカ私が買いましょう。」
したっぱ2「どなたです?」
サナ「通りすがりのアンチプラズマ団!」
ブイ!とVサイン。
したっぱ2「愚かな。我らが王の理想を理解しないとは。いいでしょう。あなたを倒して我々の正しさを示すとしましょう。」


したっぱ1「バカな!」
したっぱ2「なぜ、なぜ敗れる!?」
サナ「はいはい。その捨て台詞は前に別のプラズマ団から聞いたから、とっととおうちに帰りなさい。」
したっぱ2「ふんっ。覚えていなさい。あなたがどう足掻こうともいずれ我らが王の理想は達成され、あなたは何もかもを失うでしょう。その日をどうかお楽しみに。」


じいさん「いやはや助かったよって。戦わせるポケモンの手持ちはなかったもんでどうしようもなかったとこじゃて。」
とは言いつつも、よく見れば腕の筋肉がすごい丈夫そうで、ドンとしたおじいさん。肉弾戦では敵無しなんじゃないかと思うくらい。……助けなくても勝ってたかも知れない。
サナ「いえいえ。アイツら倒すのは、なんていうかもう日課みたいなものなんで。」
じいさん「そうか!よっし。助けてもらった礼にほれ、これを持って行きんしゃい。」
そう言って持たされたのは大きなタマゴだった。
サナ「重っ。」
じいさん「そりゃポケモンのタマゴじゃがさっきの子童どもはこれを狙っとった。何のタマゴかは孵ってからのお楽しみじゃて。それとついでにこれもやろう。」
自転車を手に入れた!
じいさん「都会をサイクリングで洒落込もうと思ったが、いやはややはり慣れんことはするもんではないの。ロクな目に遭わん。」
サナ「えっと、いいんですか?こんなに。自転車なんて高そうだし。」
じいさん「子砂利が大人に気ぃ使うもんじゃないよって。素直に貰っておきんしゃい。そいではの、わしゃ帰るわ。3番道路で育て屋やっちょるで暇があったら寄っとくれ。」
そういって立ち去るワイルドな育て屋のおじいさん。まさか歩いて帰るのかな。砂漠を越えて橋を渡って森を抜けて、その間に街ふたつ……。ここから3番道路までかなりの距離あるんだけど……。

???「あ、サナー!」
サナ「ん?」



うらばなし

2010年12月14日

近況報告・ボーナスで眼鏡を買いました。

〜第八話〜
・ベルの決意・


したっぱ「マズイ。マズイマズイマズイマズイマズイマズイ!ここで負けるのはプラズマ団としてマズイ。略してプラズマズイ!」
サナ「語呂が悪いし笑えない。くだらないこと言ってないでそこを退きなさい。」
ビルに踏み込もうとしたところで中から現れたしたっぱたちを一蹴し、啖呵を切る。
サナ「さあ!そこを退くの、退かないの!」
したっぱ「と、とにかく七賢人様にご報告だ!」
したっぱ「ああ!」
アイリス「わたしたちも行こう!」
サナ「ベル、行くよ。」
ベル「うん!」


ビルに入ると、フロアにはには何人ものプラズマ団のしたっぱと、森で出会った七賢人のような格好をしている大人が3人いた。その内の1人は、いつかカラクサタウンで演説をしていた奴だ。確か名前はゲーチス。
ゲーチス「これはこれはジムリーダーまでもお揃いで。」
サナ「アンタがプラズマ団のリーダー?」
ゲーチス「リーダー、というのは少し違いますな。」
スムラ「ポケモンジムの目の前に隠れ家を用意するのも面白いと思いましたが、意外に早くバレましたな。」
ゲーチス「確かに。まあワタクシたちの素晴らしきアジトは既にありますからね。……さてアナタ方。イッシュ地方建国の伝説はご存知ですか?」
サナ「は?いきなり何を。そんなことよりも、ベルから奪ったムンナを返しなさい!」
ゲーチス「威勢のいいお嬢さんだ。心配しなくとも、話が済んだらお返ししますよ。」
サナ「なんですって?」
ゲーチス「まあお聞きなさい。かの昔。そう……、多くの民が争っていた世界をどうしたら纏められるか……?その真実を追い求めた英雄の許に現れ、知識を授け、刃向かう者には牙を剥いた。」
アイリス「それ知ってる!白いドラゴンポケモンの伝説!」
ゲーチス「ほう、なかなかに博識な子供もいるものですね。」
アイリス「わたしこどもじゃないもん!」
ベル「アイリスちゃん。」
子供と言われじたばたするアイリスをベルがなだめる。なんだか姉妹みたいだ。しかしそれを傍目にゲーチスは話を続ける。
ゲーチス「英雄とポケモンのその姿その力が皆の心を纏めイッシュを創り上げたのです。そして今一度!英雄とポケモンをこのイッシュに甦らせ、人々の心を掴めば!意図も容易くワタクシの……いや、プラズマ団の望む世界に出来るのです!」
サナ「あのねえ!アンタらの目論見が分かったところで言わせてもらうけど、そんなことはもうどぉうでもいい!!」
ベル「サ、サナ!?」
サナ「だいたいアンタらの話はいっつも長い!それにね。」
一歩前に踏み出しゲーチスその他諸々に宣言する。
サナ「私たちは考え方も何もかもひとそれぞれでみんな違う。だけどね、みんなポケモンを大切にしてるの。それは同じ!みんな手にしたポケモンを大切に育てて一緒に暮らしてる。アンタたちが簡単に立ち入っていいものじゃないの!!だからつべこべ言わずにとっととベルのムンナを返しなさい!!」
アイリス「そういうことならわたしにも言わせて!」
サナ「アイリス?」
アイリス「わたしたち、初めて会った人とも仲良くなれる!それはね、ポケモンバトルをしたり交換したり、ポケモンのことで会話がはずんだりするから!みんなみんなポケモン大好きなんだもん!」
ゲーチス「フハハハ!なかなかどうして元気なお嬢さん方だ。……ワタクシは王のため、世界各国から知識を持つ人間を集め七賢人を名乗っている程です。今ここでの争いに利益はありません。おとなしく引き揚げましょう。では約束です!そこの娘。ポケモンは返しますよ。」
ゲーチスが合図をするとしたっぱのひとりがベルのムンナを放した。
ベル「ムンちゃん!」
ムンナ「むうぅうん!」
ベルに気付いたムンナがベルのもとへ飛び込んだ。
ベル「あっ、ありがとうございます!ムンちゃん、おかえり!」
アイリス「おねーちゃん!こいつらおねーちゃんの大事なポケモン盗った悪者なんだよ!?」
ベル「で、でもお。ムンナが無事で嬉しくて。」
ゲーチス「これはこれはうるわしい。ポケモンとひととの友情ですな。ですが、ポケモンを愚かな人間から自由にする。その伝説を再現し人の心を操りますよ。……では、ごきげんよう。」
サナ「待ちなさい!!」
立ち去ろうとしたプラズマ団を逃がすまいと入口を塞ぐが、次の瞬間フロアに白い煙が充満した。
サナ「くっ、また!」
博物館の時と同じだ。逃げられた!





アイリス「おねーちゃん!」
サナ「アイリス、どうだった?」
あの後また街の人たちに協力してもらって奴らを探したけど、今度は見つからなかった。
アイリス「全然ダメ。あーっ、もう!ホントあたまくる!」
ベル「あの、もういいよ。サナ、アイリスちやん。」
サナ「何言ってるの!アンタ悔しくないの!?」
アイリス「そうだよおねーちゃん!あいつら全然はんせーしてないもん!」
ベル「でもでも、ムンナは無事だったし、サナやアイリスちゃんは強いけど、もしあのままバトルになってたら危なかったと思う。みんなケガもなくてよかったよ!それにホラ、あたしなら大丈夫だよ!ふたりとも、ありがとう!」
そう言って握りこぶしを両わきにグッと構えた。この子の笑顔には、昔から適わないや。
サナ「う……。ま、まぁ、ベルがそういうなら。」
アイリス「えー?……う〜ん。あまり納得できないけど、分かった!それならそれで考えがあるよ!」
ベル「考え?」
アイリス「わたしがおねーちゃんを鍛えてあげる!」
ベル「え、えー!?」
アイリス「だぁいじょーぶ!わたしけっこー強いんだから!」
ベル「わっ、ちょっと、アイリスちゃん?サナ〜!」
行ってしまった……。なんか、善は急げ!な子だなぁ、アイリスって。
サナ「でも、ベルが許しても私は赦さないよ、プラズマ団。いつか必ず、アンタたちの野望もろとも打ち砕いてやる。」


ジム戦の後、ベルから連絡があり、噴水広場へと向かった。
ベル「おぅい、サナ!」
サナ「ベル、どうしたの?あれ、アイリスは?」
ベル「アイリスちゃんならもう少し街の中を見て廻るって。」
サナ「……。迷子にならなきゃいいけど。」
ベル「……だね。」
サナ「あ、でゴメン。用事って?」
ベル「うん。サナ!あたしとバトルしてほしいの!」
サナ「え、今?」
ベル「うん、今!アイリスちゃんに鍛えてもらったからね、あたしたちちょっとは強くなったと思うの!」
サナ「うん、分かった。いくよ!」


バトルを終えて、そこでしばらく今日一日の疲れを癒すことにした。
サナ「ミックスオレとサイコソーダどっちにする?」
ベル「あ、サイコソーダがいい。」
ベルに右手の缶を渡し、隣に腰かける。ソーダを一口飲み、
ベル「ふええ。やっぱサナにはかなわないか〜。」
と、ため息まじりにもらした。
サナ「ううん。ベルのポケモンたち、すごく強くなってたよ。」
それはお世辞でも励ましでもなく、本当にそう思ったことだった。
ベル「えへへ、そっかな。…………。サナ……。今日は、本当にありがとう。あのね、前に3番道路で女の子のポケモンをプラズマ団に盗られちゃった時、サナたちが取り戻してくれたことあったでしょ?」
サナ「うん。」
ベル「あの時と一緒。あたし、今度は自分のポケモンが盗られたのに何もできなかった。サナやアイリスちゃんの言う通り、すごく悔しかった。プラズマ団に、なんて人たち!って思った。でも、あたしはそれよりも、また助けてもらってるあたしが嫌だった。サナは頼っていいって言ってくれたけどそれじゃダメなの。だからゴメン。あたし、もっともっと強くなる!サナには勝てなくても、あたしはあたしのポケモンのためにがんばる!」
サナ「ベル……。」
そっか。ベルはもう、昔のままのベルじゃないんだ。旅に出て、この子だって成長して、強くなってるんだ。
サナ「分かった。でも、たまには頼ってほしいかな。私、ベルのためならどこにでも行くし、すぐに駆けつけるから。」
ベル「あはっ!何だか愛の告白みたいだね!」
サナ「なぁ!?」
ベル「冗談だよ!ありがとう、サナ!」
も、もうっ。急に何を言い出すんだろうこの子ってばまったくもう。
サナ「ところでさ、そのムンナ。」
ベル「うん。夢の跡地でねばりにねばってやっとゲットできたんだ。」
サナ「そっか、よかったね。」
ベル「うん!……、じゃあ、あたしそろそろ行くね。ポケモンの回復にポケモンセンターにも行かなきゃだし。ジュースありがとう。」
サナ「いいよ。それじゃあ、気をつけてね。」
ベル「ありがと、またね!」
駆けていくベルを手を振って見送った。その後ろ姿が見えなくなってからも私はしばらく振り続けた。
ダンサー1「WOW! 愛の告白みたい、か。」
ダンサー2「Oh〜、ミーにもそう聞こえたZE!」
ダンサー3「これは俺たち、ブラザーの恋路をサポートするしかないYO!」
サナ「アンタら〜!!何を勝手に盗み聞きしてんの!ってかだからブラザーはやめろ〜!!!」
ヒウンシティの高い空に、私の絶叫が響いた。ダンサーは私の顔が赤くなってるって言ってたけど、多分きっと、風邪でもひいたのだろうと、私は思う。



次回、ライモンシティ到着?


ほそくとか

2010年12月09日

ヒウンの雲は空に高く

〜第七話〜
・ベルの涙・


サナ「ここがヒウンシティか〜。」
間近で見ると一際大きいなあー。こんなビル初めて見たや。港もいっぱいあるし。そういや、さっき渡った橋の下、船が通ってたなぁ。





サナ「ふい〜。つい堪能してしまった。」
街を歩いている内に路地裏で技マシンをもらったり、ダンサーのメンバー探し手伝わされたり。そんなこんなしている内に街のすみずみまで廻った私は、ただいま噴水広場で休憩中。噴水の向こうではさっきのダンサー3人がまだ踊っている。
サナ「うん、このヒウンアイスなかなかおいしいわ。」
さっきもミックスオレ買ったら当たりが出たし、そろそろジムに行こうかな。
サナ「っと、その前にポケモンセンターか。」
ダンサー「おや、もう行くのかい?」
サナ「うん。ダンスがんばれ〜。」
ダンサー「オーケー、ブラザーの検討を祈ってるZE!」
サナ「ブラザーはやめてよ……。」


ポケモンセンターを出たところで、ライブキャスターが鳴っているのに気付いた。
サナ「ベルだ。やほー、どしたの?」
ベル「……サナ、どうしよう。」
サナ「ベル?」
震えるベルの声。目には涙が浮かんでいた。何があったんだろう。
ベル「あたしのムンナ……。プラズマ団にとられちゃったぁ。」
サナ「えっ!!」
ベル「どうしよう。どうしよう……。あたし、トレーナーなのに、ムンちゃんとられちゃったよう。」
サナ「ベル!いまどこにいるの!?」
ベル「えと、港……。黒い船が停まってるの。」
それならさっき見た。ここから少し西の波止場だ。
サナ「すぐにそっち行くから、動かないで待ってて!」


サナ「ベル!」
と、アーティさんもいる。それに、子供?
アーティ「やぁ、サナくん。」
サナ「どうも。ベル、あんたは大丈夫なの?」
ベル「うん。あたしは大丈夫。でも……、ふええええん。トレーナーなのに、自分のポケモンを守ってあげられなかったぁ!」
泣き出しその場に崩れたベルを抱きしめる。
サナ「ベル……。」
落ち着け、私。まず、優先すべきは。
サナ「アイツらはどこに行ったの?」
???「それが、わたしおねーちゃんの悲鳴聞いてすぐにそのヘンなヤツらの後を追ったんだけど、逃げ足が速い上にこの街広くって!見失っちゃったの!」
ベルの横にいた色黒な女の子が悔しそうに地団駄を踏んだ。
アーティ「アイリス、キミはキミに出来ることをしたんだ。落ち度はないよ。」
アイリス「でもダメなんだもん!人のポケモン盗っちゃダメなんだよ!ポケモンとひとは一緒にいるのがステキなんだもん!お互い無いものを出し合って支え合うのが一番だもん!」
この子の、アイリスの言う通りだ。だからこそだ。
サナ「アーティさん、みんなで手分けして探しましょう!」
アーティ「うん。そうしたいのはモチロン山々なんだけどねえ。なんたってこの広い街の中でこの子のムンナを持ったプラズマ団一人を探し出すのは、まさに雲を掴むような話だからね。何か手掛かりがないと。」
サナ「だからって、このまま手をこまねいている訳にはいかないです!」
アーティ「気持ちは分かるけどね。」
サナ「もういいです!私ひとりだけでも探し出します!」
ベル「待ってサナ!」
立ち上がろうとした私を、ベルが服を掴み引き止めた。
ベル「待って。」
赤く腫れた目を私に向けながら言った。
ベル「ムンちゃんとられたのはあたしのせいだから。あたしが探さなきゃ。サナはサナの旅を続けてて。あ、ホラ、アーティさんジムリーダーだし、ジム戦がんばってよ!」
サナ「こんのバカー!!
埠頭から海の向こうに届く程の大声で叫んだ。
ベル「サ、サナ?」
アイリス「すご……。」
サナ「アンタ、次にそんなバカなこと口にしたら絶交だかんね!確かに今回のことはベルに不注意があったかもしれない。けど、今までだって失敗したらお互いでカバーし合ってきたじゃない!私たち幼なじみでしょ?」
ベル「サナ……。うん。ごめんなさい。ありがとう!」
アイリス「うん。うまくまとまったところで、みんなでヘンなヤツらを探しに行こぉう!」
ベル「あ、でもでもどうやって?」
アイリス「う……、それが問題だったよ。この街ホント広いんだから!おまけに人も多いんだよ!」
サナ「だったら、逆にそれを利用しよう。これだけの人がいる中で誰にも見られずに逃げ切るなんて無理でしょ?」
それに、あちこち歩き回ったお陰でこの街に知り合いがたくさんできた。この人脈を使わない手はない。
アイリス「おねーちゃん頭いい!」
サナ「へへーん。」
アーティ「よし、そういうことならボクも力になれそうだ。」
サナ「期待しなくてもいいですか?」


ダンサーから連絡があったのは、それからすぐのことだった。
ダンサー「HEY! ブラザー!ユーの言ってた青服のグループを見つけたYO!」
サナ「ブラザー言うな。」
で、ジムの前のビルとはね。
アーティ「う〜ん、まさに灯台もと暗しだね。」
サナ「アンタもう喋らないで。」
アーティ「………。」
このジムリーダー、結局大して役に立ちゃしない。
アイリス「おねーちゃん!」
サナ「ベル、アイリス!」
アイリス「また迷っちゃった。やっぱライブキャスターで道案内されても分かんないや。」
サナ「アイリスって方向音痴?」
アイリス「違うもん!ちょっと空間把握が苦手なだけだもん!」
ベル「それが方向音痴って言うんじゃ……。」
アイリス「んも〜!とにかくちゃっちゃっと早く中に入る!」
サナ「おう!」
待ってなさいプラズマ団!私の親友を泣かせた罪は重いんだから!!



〜予告〜
ゲーチス「やあジムリーダー。思ったよりも早かったな。」
アーティ「この子のポケモンは返してもらうよ。さもなくば!」
ゲーチス「ほう!私を脅迫なさるおつもりか。」
アーティ「ポケモン泥棒には出るとこ出てもらわないとね。」
ゲーチス「ならばお相手しましょう。この世界はわたしの、いえ、プラズマ団のものなのですから!」
アーティ「まだ違う!」

ヒウンシティで、プラズマ団との決闘が遂に始まる!
親友を傷つけられたサナの怒り。ベルの決意。そして謎の少女、アイリスの正体とは!
サナ「さあ、もう逃がさないわ。アンタらのそのくっだらない夢物語、走馬灯させるヒマもなく打ち砕いてあげる!」


次回、「己が罪を数えよ!」(嘘)



乞うご期待!!




ほそくみたいなの

2010年11月10日

番外編

いまの進行状況。
実をいうとヤグルマの森から進んでいません。というのも、新メンバー、チュリネの選定にだいぶ時間を掛けていました。最終77匹も捕獲したにもかかわらず、納得いくステータスには出会えず、結局妥協したのは防御が紙。
とはいえストーリー進めていく上での役割ならばきっと活躍してくれるでしょうことを期待しています。

さて、そんなわけで後れを取っている『ホワイト』ですが、次回いよいよヒウンシティに到着します。ここでの出来事はサナにとって大きな転機というか、重要なポイントになると思うので、書くのが楽しみです。
しかし、実はいま携帯電話を故あって修理に出しているので、修理から戻るまではまともに書けないかも。ていうか、メールのバックアップとるの忘れたぜ。

閑話休題次回更新はもう少し後になります。あしからず。


サナはARSには登場していない人気投票について。
  • サナ-->誕生日は3月7日でどうでしょうか?( 幼なじみ ツンデレ きのみ 猫 )

  • サ(3)ナ(7)で3月7日って、きみはONEPIECEの読者か!?
    でも、うん。いいんじゃない?
    そんなご意見があったので、先のDSiは機体ネームをサナ、誕生日を3月7日に変更し、『ホワイト』はこの機体で進行させていきます。赤いだけに専用機です。
    ちなみに今回の『ブラック・ホワイト』ではなにやら誕生日イベントがあるらしいので、来年の3月7日、忘れていなければそのイベントレポートしたいです。

    では、今回は以上です。それでは!



    SkyArrowBridge.JPG


    2010年10月27日

    七賢人現る

    〜第六話〜
    ・ヤグルマの森の追走・


    アーティ「ボクはこっちの舗装された方から行って出口を押さえている。」

    サナ「きみはこっちの茂みの道を進んで連中を探してくれ。って……あァ!あったまくる!!自分は楽したいだけじゃないっ!」

    アーティ「一本道だから迷うことはないよ。きっと。」

    サナ「だいたい、きっとってなに、きっとって!そもそもこの茂みじゃ迷ってるのか迷ってないのか分からないし!」
    これでプラズマ団がいなかったら承知しないから、あのヘンな髪型!
    したっぱ「やや!きさまこんな所まで追ってくるとは、なんてしつこいヤツ!」
    サナ「あら、いた。」
    したっぱ「ええい、こうなったら打ちのめすまで!」


    したっぱ「打ちのめされた!」
    サナ「さてと。アンタたちはこの森の中に逃げ込んで、追っ手を撒いてから完全にトンズラする魂胆だったのかしら?」
    したっぱ「う……、まぁそんなところだ。」
    サナ「じゃあ、化石を持った奴もまだ森の中にいるのね。」
    したっぱ「ふんっ、それはどうかな。」
    サナ「あらあら。いまの私は虫の居所が悪いんだけど、他に何か言いたいことある?」
    したっぱ「ひぃっ!……、しか、しかし、本当だ。自分は万一の時間稼ぎの為にここにいるのだからな!今ごろは……。」
    サナ「今ごろはヘンな恰好のお兄さんが森の出口を塞いでるから、アンタたち逃げられないわよ。ところでアンタ。」
    したっぱ「は、はひぃっ!?」
    サナ「この森の地図を持っていたらよこしなさい。」





    したっぱ「分かった!分かった。ホネは返す!」
    森の奥にいたしたっぱを倒すと、観念したようにそう言った。どうやらコイツが化石を持っているようだ。
    したっぱは隠していた化石を取り出し、私の前に差し出した。
    Drabone.jpg
    サナ「それにしても、こんな大きなものよく一人で……重っ!」
    なにこれ。ホントによく一人で持ってたなってくらい重たい。……早くバ、バッグに……。
    サナ「って入るかっ!」
    したっぱ「ああ。これで我らの、そして王様の望みは叶わなくなるのか……?」
    サナ「おうさま?」
    ???「大丈夫ですか?」
    背後から、仰々しい衣裳に身を包んだ男がやって来た。
    新手?ヤバ、両手使えないんじゃポケモンが……。
    しかしそんな私の心配をよそに横を通り過ぎ、したっぱのもとに歩み寄る。
    したっぱ「七賢人アスラ様!」
    アスラ「王様に忠誠を誓った仲間よ。」
    したっぱ「無念です、せっかく手に入れたホネをみすみす奪われるとは。」
    アスラ「いいのです。ドラゴンのホネ、今回は諦めましょう。調査の結果、我々プラズマ団が探し求めている伝説のポケモンとは無関係でしたから。」
    それまで私を無視して話をしていた二人が、私の方へ向き直った。さっきのしたっぱも水を得た魚のように得意気な顔をしている。
    アスラ「さて。どなたか存じませんが、我々への妨害は見逃せません。」
    う〜ん、マズい。
    アスラ「二度と邪魔できないよう、痛い目にあってもらいましょう。」
    さすがにお手上げかもね。手、上げられないけど。
    あぁもう!この際あのヘンな芸術家でもいいから誰か助けて!
    アーティ「ああ、よかった!」
    サナ「はっ!」
    心の声が届いたのか、私の隣にはそのヘンな芸術家がいた。
    アーティ「虫ポケモンが騒ぐから来てみたら、なんだか偉そうなひといるね。」
    サナ「あの、グッドタイミングで来ていただいてアレなんですけど、出口はいいんですか?」
    アーティ「問題ないよ。みんな戦闘不能さ。ところでこのお偉いさんはさっきボクが倒しちゃったその仲間を助けに来たのかな?」
    アロエ「サナ!アーティ!」
    サナ「アロエさーん!」
    アロエ「無事だったね。」
    サナ「はい、化石もバッチリです!」
    アロエ「ありがとうよ。……で、なんだい。こいつが親玉かい?」
    Asura.jpg
    アスラ「わたしはプラズマ団七賢人のひとりです。同じ七賢人のゲーチスは言葉を使いポケモンを解き放たせる!残りの七賢人は仲間に命令して実力でポケモンを奪い取らせる!……だがこれは、ちと分が悪いですな。虫ポケモン使いのアーティにノーマルポケモンの使い手アロエ。敵を知り己を知れば百戦して危うからず……。ここは素直に退きましょう。ですが我々はポケモンを解放する為トレーナーからポケモンを奪う!ジムリーダーといえどこれ以上の妨害は許しませんよ。いずれ決着をつけるでしょう。では、その時をお楽しみに……。」





    サナ「話が長い!」
    う、腕が……。
    アロエ「それにしても本当に素早い連中だね。どうする、追いかけるかい?」
    アーティ「いやあ……。盗まれたホネは取り返したしあんまり追い詰めると、何をしでかすか分かんないです。それに、彼女はそろそろ限界のようだ。」
    サナ「あ……はぅ。」
    アロエ「サナ!大丈夫かい?」
    サナ「だいじょばないです……。」
    アーティ「じゃあ姐さん。ボク戻りますから。それじゃあきみも。ヒウンシティのポケモンジムで挑戦を待っているよ。うん。たのしみたのしみ。」
    って、あのひとジムリーダーだったの!?どうりで、プラズマ団がビビって逃げ出したのはそういうことか。
    アロエ「サナ!本当にありがとうよ。」
    サナ「ど、どうぞ……。」
    ひょいっと、私の手から軽々と化石を受け取った。しかも片手で。
    アロエ「アンタのように優しいトレーナーなら一緒にいるポケモンも幸せだよ。」
    サナ「アロエさん……。」
    アロエ「それとこいつはあたしの気持ちさ。大切に使っておくれ!」
    アロエさんから渡されたのはゴツゴツとした石だった。
    サナ「これは?」
    アロエ「"月の石"といってね、それを使って進化するポケモンもいるんだよ。」
    サナ「へぇ。ありがとうございます。」
    アロエ「さて、ドラゴンのホネを博物館に戻さないとね。サナはこの後ヒウンシティかい?」
    サナ「いえ、もう少しこの森を散策してみようかと思います。」
    アロエ「そうかい。じゃあ、気をつけるんだよ!」
    サナ「はいっ、またどこかで。」
    そうしてアロエさんと別れた。それにしても、ホント軽そうに持つなぁ。けっこう重たいハズなんだけどなぁ、あの化石……。
    サナ「まぁいいっか。さてぇ、それじゃあ道も覚えたし、もう一度森の中を廻ってみるかな。」


    化石の奪還には成功した。だけど、プラズマ団の中の七賢人という存在は一筋縄ではいかなさそうだった。そのためには、私はもっともっと強くならなきゃ。私のポケモンたちと一緒に!



    次回、サナ怒る。



    2010年10月26日

    まちがいさがし

    ※今回掲載されている写真には、ゲーム本編の映像とは違う箇所があります。さあ、どこでしょう。
     ヒント:違うのは1ヵ所。


    〜第五話〜
    ・追跡、ヤグルマの森へ・


    アロエ「ちぃっ。逃げ足の速い連中だね!」
    博物館の外に出た時、既にプラズマ団の姿はなかった。あんな大きな化石を持ちながらなんて素早さ!
    サナ「逃げ足と卑劣さは天下一品の奴らですね。」
    アロエ「連中を知ってるのかい?」
    サナ「えぇ。……これまでに何度か。」
    ???「やあ、アロエ姐さん。何かいい化石は見つかったかい?」
    アロエ「アーティじゃないか。なんだい、また行き詰まったのかい。」
    アーティ「……んうん?なんとなく、気分転換かな?」
    思い出した。アーティといえば、この前、街の人がこの人のこと話してたな。芸術家なんだっけ。
    サナ「ってアロエさん、今はそんなこと話している場合ではないのでは?」
    アロエ「そうだよ!展示品を持っていかれちまって大変なんだよ!!」
    ベル「サナ〜。」
    サナ「ベル!」
    緊張の場を和ませるいい子だね、アンタは。
    ベル「なになに?みんな集まってどうしたの?」
    チェレン「サナ、何か問題でも?」
    サナ「なんだ。アンタも一緒だったの。」
    ベル「さっきね、そこで会ったんだ。へへ……。」
    まぁ。嬉しそうだこと。
    でもひとまずそれはさておき、今の状況を二人に説明した。
    ベル「なんて人たち!」
    チェレン「またメンドーなことだね。」
    アロエ「なんだい、友だちかい?」
    サナ「はい。」
    アロエ「それならちょうどいい。手分けするよ。あたしゃこっちを探す。」
    アロエさんは街の東側を指さす。
    アロエ「チェレンと、ベルと言ったね。ここに残って留守を頼むよ。」
    ベル「はいっ!」
    チェレン「分かりました。」
    サナ「あの、私は?」
    アロエ「サナはアーティと、ヤグルマの森を探しとくれ!アーティ、案内してやるんだよ。」
    アーティ「了解。」
    え、この人と?なんか、第一印象苦手な雰囲気なんだよね……。
    アロエ「じゃ、頼んだよ!」
    反論の隙もなく、アロエさんはあっという間に3番道路の方へ駆けていった。
    アーティ「やれやれ。息抜きに来たつもりだったんだけど……。サナさんだっけ?じゃあ行こうか。ドロボウ退治とやらにさ。」
    この人もこの人でとっとと行ってしまう。
    サナ「あ、待ってくださいよ。」
    ベル「あ、サナも待って!」
    サナ「おぉう?」
    アーティ「森の入り口で待っているよ。」
    サナ「あ、スミマセン。」
    チェレン「それじゃあ、僕も先に中に入ってる。」
    ベル「あ、うん。」
    サナ「それで、どうしたの?」
    ベル「あぁ、そうなんだよ。マコモさんからね、預かってるものがあってそれを渡したかったんだ。」
    サナ「マコモさんから!?」
    ベル「はい、コレ。ダウジングマシ〜ン!」
    サナ「おぉ!ダウジングマシン!!」
    マコモさんからの贈り物!!
    DSC00754_02.jpg
    ベル「コレを使うとね、地面に埋まって見えない道具の場所が分かるんだよ。便利だよね〜。」
    ん?
    サナ「ひょっとして、ベルも持ってるの?」
    ベル「うん!チェレンにもさっき渡したげたよ。」
    うぅ……。マコモさん、あくまでもみんな平等なんですね。
    いやっ、それであれもっ、マコモさんの愛はしっかりと受けとりました!
    ベル「でもよかった!」
    サナ「……?なにが?」
    ベル「ううん。この前ね、女の子のポケモンを取り返してくれた時ね。ちょっと元気ないように見えたから。でも大丈夫だね。今のサナ、前よりももっと頼もしい。」
    サナ「あはは。やっぱベルはすごいや。」
    ベル「そ、そんなことないよぅ。サナのほうがすごいよ。」
    ううん。ベルのそういうところ、私はいつも救われてるんだ。恥ずかしくて、言葉には出さないけど。
    サナ「ありがとね。」
    ベル「やだ、はずかしいよ……。それよりもホラ、早く行かないとアーティさんに置いてかれちゃうよ?」
    サナ「そうだった!それじゃあ、こっちはお願いね。気をつけて。」
    ベル「うん。サナも気をつけて。」
    博物館を離れ、森へ向かう。入口ではアーティさんが待機しつつ森の中を確認していた。
    サナ「お待たせしました。どうですか?中の様子は。」
    アーティ「うん。ひょっとするとこちらが正解かもね。さっき姐さんから聞いた彼らの特徴の姿はまだ確認してないけど。」
    サナ「ならどうして?」
    アーティ「虫の知らせってやつだね。それじゃあ行こうか。」
    アーティさんに続きヤグルマの森へ踏み込む。
    キダチさんが言ってた。あのドラゴンポケモンの化石は、アロエさんが一番好きな化石だって。ポケモンにしろ、化石にしろ、ひとの大切なものを奪うなんて、私は許せない!



    次回、ヤグルマの森のプラズマ団。


    まちがいさがしのこたえ

    2010年10月15日

    第四話 2年後

    サナ「ってオイッ!」
    突拍子もないタイトルに思わずツッコミを入れてしまった……。


    〜第四話〜
    ・2つめ・


    さてと。気を取り直してジムに挑戦しようか。
    "試し岩"の草むらでレベルアップを重ね、ミズノ、ペローテ、チョコロネ、ゴロロロは進化して一段と逞しくなった。今こそ2つ目のジムバッジを手に入れる時!……それにしても、
    サナ「ジムはどこ!?」
    街の中で雰囲気の違う建物があるけど、ここ博物館だし。
    サナ「まいいや。入ってみよう。」
    入口の前に差し掛かったその時だった。
    サナ「わっ!」
    誰かとぶつかった。
    サナ「すっ、すみませんでした!」
    頭を下げて謝ると、その人は、
    ???「やあ、きみか。」
    と言った。不思議に思い姿勢を戻してみるけれど、彼の顔には覚えがない。
    ???「ボクだよ。忘れたのかい?ホラ、カラクサタウンでの、ゲーチスの演説の後さ。」
    サナ「ん〜?」
    N_in_Karakusa.gif
    サナ「あーっ!!アンタ、あの時のヘンタイ!」
    N「ヘンタイとは失敬な……。いいかい?ボクは……ダレにも見えないものが見たいんだ。ボールの中のポケモンたちの理想。トレーナーというあり方の真実。そしてポケモンが完全となった未来……。」
    サナ「ポケモンが完全にって、どういうこと?」
    N「今はまだ分からなくてもその内分かるさ。どうだい、キミも見たいだろう?」
    サナ「私は、今のこの子たちが好き。もしその完全なものになってこの子たちが今と変わってしまうなら、私はそんなの見たくない!」
    N「……ふうん、期待外れだな。それよりもボクとボクのトモダチで未来を見ることが出来るか、キミで確かめさせてもらうよ。」





    N「まだ未来は見えない。まだ決まってない。」
    サナ「はぁ、はぁ……。わけ、わかんない。」
    いきなりのポケモン勝負。もちろん、敗けはしなかった。だけどなんだろう?コイツのポケモンたちはなぜか、どこか不気味な感じがした。
    N「今のボクのトモダチとでは、ポケモンを救い出せない……。」
    サナ「え?」
    N「世界を変えるための数式は解けない……。ボクには力が必要だ……。ダレもが納得する力……。」
    サナ「ちょ……、アンタ!」
    立ち去るソイツに嫌な予感を覚えて、無意識の間に叫んだ。すると背を向けたまま、こう言った。それは私にではなく、独り言のように。
    N「……必要な力は分かっている。……英雄と共にこのイッシュ地方を創った伝説のポケモン、レシラム!」
    サナ「レシラム?」
    N「ボクは英雄になり、キミとトモダチになる!」
    なに、なんなの?前回も今回も有無を言わさずポケモン勝負だなんて。おまけに、ポケモンを救い出す?まるでプラズマ団みたいなこと言うじゃない。
    サナ「あーヤダヤダ。そんなの野生のプラズマ団だけで十分だってのに、ヘンタイトレーナーまで増えたらたまんないわ。」
    なんだか、どっと疲れた。
    サナ「やれやれさてと。中に入ろう。」
    ん?
    【シッポウ博物館・シッポウシティジムは入って奥】
    入口横の標札にそう書かれていた。
    サナ「…………。」
    ここか!!


    中に入るとキダチという男の人に博物館を案内された。ただの学芸員かと思えば、なんとジムリーダーの旦那さんだという。なるほど。ナチュラル ボーン ママという肩書きの由来が分かった気がする。





    図書館の蔵書リレーの先に、待ち控えるはジムリーダーのアロエさん!
    レベルはほぼ互角のいい勝負。でも負けない。負けられない!
    サナ「ミズノ、シェルブレード!」
    ミズノ「フテャー!!」
    アロエ「ミルホッグ!」
    アロエさんのミルホッグは倒れた。勝った。勝った!
    サナ「やったー!」
    ミズノのもとへ駆け、抱きしめる。
    サナ「勝ったよ、やったよミズノ!」
    もちろんミズノだけの力じゃない。みんなががんばってくれたおかげでアロエさんに勝つことができた。
    アロエ「おやおや。まだ2つ目だろう?まるで最後のバッジみたいに喜んじまって。」
    サナ「あ……、いえ。この街に来る前にちょっと色々あって。今回はどうしても、この子たちのために勝ちたかったんです。」
    アロエ「そうかい。それじゃ、これは大事な戦利品ってわけだね。」
    アロエさんが私の手を取り、その上にバッジを乗せた。
    アロエ「ベーシックバッジ。シッポウシティジム勝利の証だよ。」
    サナ「ありがとうございます!」
    Basic-Badge.jpg
    それはとてもシンプルなデザインだった。だけど、手のひらに乗ったその小さなバッジは、とても重たく感じた。
    キダチ「ママー!」
    その時、突然キダチさんが大慌てで飛び込んできた。
    アロエ「どうしたんだい?」
    キダチ「いま、博物館の方にプラズマ団とかいう連中がやって来て……!」
    サナ「プラズマ団!?」
    キダチ「それで、ドラゴンの骨を頂くって言うんだよ!」
    アロエ「なんだって!?」
    キダチ「急いで!」
    アロエ「サナ、あんたも来ておくれ!」
    サナ「はいっ!」





    したっぱ「来たなジムリーダー。」
    したっぱ「俺達が本気だってことを分からせるために、あえてお前の前で奪ってやる。やれ!煙幕だ!」
    その号令と共に、白い煙が博物館の中に充満した。
    サナ「何も見えない!」
    アロエ「落ち着くんだよ!天窓開放!空調システムも最大出力で稼働しな!」
    Shippoh-Museum.gif
    するとみるみる内に煙が晴れ、視界も元に戻った。しかし、
    サナ「化石が!」
    ホール正面に展示されていたドラゴンポケモンの化石。その頭部が無くなり、胴体だけになっていた。
    アロエ「なんてこったい!」
    すぐさま外へ飛び出すアロエさん。私も後に続いた。
    他人のポケモンの次は博物館の展示物?ますます分からない。ポケモンを解放するっていうアイツらの目的……、何か関係があるの?


    to Be continued



    ほそく

    2010年10月02日

    3番道路からシッポウシティへ。〜プラズマ団ふたたび。〜

    〜第三話〜
    ・ポケモントレーナーに大切なこと・


    保育園児からお金を巻き上げるほど私は落ちぶれちゃいない。
    園児「よーし、勝負しろ!」
    ただ、勝負を挑まれたとあれば話は別。
    サナ「さああなたたち、やっておしまい!」

    さてと。先に進むとしますかぁってあれ?分かれ道……。う〜ん、じゃまっすぐ行ってみよう。
    ???「サナ、ストップ!」
    サナ「お?」
    私を呼び止めた声の主はチェレンだった。ここであったが百年目!
    チェレン「トライバッジを持つもの同士、どちらが強いか確かめさせてもらうよ!」
    サナ「ほっほー、今の私に勝負を挑むか。いいでしょうとも、かかってきなさい!」





    チェレン「なるほど、そういう戦い方ね。」
    サナ「負けたってのに冷静ねアンタ。」
    まったく、マコモさんの件で懲らしめてやろうと思ったのに、効いてないじゃん。
    サナ「あっ。それよりもアンタ、ベルに――。」
    ???「どけどけーッ!」
    サナ「は?」
    大声に振り向くと、プラズマ団2人が全速力で突進してきた。
    サナ「うわぁ!……っててて。危ないじゃない!」
    って、もうあんな遠くに。
    チェレン「なんだよ、今の。」
    サナ「あ、ベルだ。」
    チェレン「なんで走ってるんだ?」
    プラズマ団のやって来た方向から、今度はベルが小さな女の子と一緒に走ってきた。
    ベル「はぁ……、ねえ、今の連中、どっちに向かった?」
    チェレン「あっちだけど。で、どうして走ってるのさ?」
    ベル「ああもう!なんて速い逃げ足なの!!」
    女の子「お姉ちゃん、……あたしのポケモン?」
    ベル「大丈夫!大丈夫だから泣かないで?」
    チェレン「あのねベル。だからどうして走ってたんだ?」
    サナ「ああもう!アンタ文脈読みなさいよ!!この子のポケモンがさっきの奴らに盗られたのよ!」
    チェレン「そうなのか?」
    ベル「そうなの!」
    チェレン「それを早く言いなよ!サナ、僕たちでポケモンを取り戻すよ。ベルはその子と一緒にいて!いいね?」
    ベル「うん!」
    サナ「ちょっと、なに仕切って……っていうか、置いて行くなぁ!」
    ベルと女の子をその場に残してチェレンを追う。追いついた先には小高い山があり、そのふもと、洞窟の入口のような場所にチェレンが立っていた。
    サナ「奴ら、この中?」
    チェレン「ああ。ところで、ポケモンの体力とかは大丈夫だよね?」
    サナ「ま、アンタと戦いっぱなしだけどね、問題ないよ。」
    チェレン「言ってくれるね。じゃ、行くよ。」





    チェレン「サナ。こいつら話が通じないメンドーな連中だね。」
    サナ「だから最初っからそう言ったじゃん。交渉してもムダ、融通の効かない奴らだって。よし、ダンゴロゲットぉ!」
    にもかかわらず、まずは外交的に話を付けるとかで説得を始めたけど……。
    因みにその話し合いが不毛なものだと分かっていた私は、その間にポケモンゲットにいそしんでいた。
    サナ「で、どうすんの?過激な交渉をするなら手を貸すけど。」
    したっぱ「あんな子供にポケモンを扱えるはずがない。だから我々はあの子供からポケモンを救ったのだ。」
    したっぱ「お前たちも同じだ。だから我々にポケモンを差し出せ!」
    サナ「やなこった!」


    したっぱ「何故だ!何故正しき我らが負ける!?」
    サナ「そりゃ正しくないからでしょ。」
    チェレン「さぁ、あの女の子から奪ったポケモンを返すんだ。」
    新手のしたっぱ「返す必要はないぜ!!」
    チェレン「まだいたのか。まぁいい。メンドーだからまとめて相手するよ。サナ、幼なじみのコンビネーションで彼らに思い知らせよう。」
    サナ「おっけー、のった!」


    したっぱ「まさか負けただと!?」
    したっぱ「我々はポケモンを人間から解放するのだ。それをこんなヤツらにッ。」
    チェレン「どんな理由があろうと、それで人のポケモンを奪っていいわけないだろ。」
    したっぱ「お前たちのようなトレーナーがポケモンを苦しめるのだ。」
    チェレン「まったく理解できないね。」
    したっぱ「ポケモンは返す。だが考えろ。このポケモンは人に使われ可哀想だとは思わないのか。いつか自分たちの愚かさに気付くんだ。」
    そう言って、4人のプラズマ団は去って行った。
    チェレン「人とポケモンが一緒にいて、お互いの強さを引き出す。それがどうして可哀想なんだ。」
    サナ「うん……さぁね。」
    チェレン「さてと。僕はポケモンを返してくるよ。サナ、次会うときは負けないからね。」
    サナ「こっちだって負けるもんか!」
    洞窟を出ていくチェレンの背中に叫ぶ。
    サナ「………。」
    ひとりになり、プラズマ団について考えた。トレーナーに苦しめられているという理由でポケモンを解放すると言っているけど、自分たちもポケモンを遣い、あげく傷つけている。ポケモントレーナーと奴らとの間に違いがあるとすればそこだ。私たちは、ポケモンバトルはしても自分から傷つけようとすることはない。でも、結果は同じ……なんだろうか。
    サナ「ポケモンの自由……か。」
    それにしてもプラズマ団。野生のポケモンだけでなくトレーナーの、しかもあんな子供のポケモンまで狙うなんて……。
    サナ「思っていたよりもタチの悪い奴らね。」
    やれやれと3番道路に戻ると、さっきの場所にベルと女の子が待っていた。
    ベル「あっ!サナ、ふたりでポケモンを取り返してくれたんだよね。ありがとう。ほんと、サナたちと友だちでよかった!!」
    女の子「お姉ちゃん、ありがとう!!あのね、これお礼!」
    サナ「おぉ?」
    手に握らされたのは、ピンク色のモンスターボール。見たことのないデザインをしている。
    ベル「あ、ヒールボールだね、それ。」
    サナ「ヒールボール?」
    ベル「それでつかまえたポケモンは体力満タンになるんだよ。」
    サナ「へえ、そりゃ便利!ありがとね。」
    あれ?でもそれって手持ちに空きがないと無意味ってこと?
    ベル「じゃ、あたしこの子を送っていくから。じゃあね、サナ。」
    女の子「バイバーイ。」
    サナ「うん、バイバイ。」

    さっきの洞窟は行き止まりだったため、3番道路の分かれ道を南に折れる。トレーナー何人かとのバトルを経て、シッポウシティに辿り着いた。
    サナ「ふい〜っ!つかれた。」
    タウンマップによると、ここにもジムがあるんだよね。どうしよかな。
    サナ「う〜ん。でもその前にやっぱり今日はつかれたし、休もう。」
    というわけで、今日はポケモンセンターで泊まることにした。


    その夜。
    私は手持ちのポケモンたちを全員ボールから出して考えていた。
    ミズノ以外は、野生でいたのをつかまえたポケモン。この子たちは、元いた場所での自由にのびのびとした生活と、小さなボールの中での今の生活。どちらが幸せなんだろう。ミズノだって、親がいただろうし。
    別に、プラズマ団の奴らが言ったことを気にしているわけじゃない。奴らのやり方は間違ってるし気にくわない。だけど、ポケモンの幸せってなんだろう?
    サナ「いや。やっぱり気にしてるのかな。」
    ポケモンの人間からの解放。人間といることで苦しんでいるポケモンを、自由に?
    サナ「ねえ、あんたたちはどう思ってるの?私と一緒にいて、幸せ?」
    でも、首をかしげて答えてはくれない。そりゃそうか。
    サナ「あんたたちと喋れたらいいのにね。」





    ???「サナ、サナ。」
    サナ「だれ……?」
    ???「ぼくたちは、サナだから一緒にいるんだよ。」
    ???「そうそう。イヤだったら初めっからボールに入らないし。」
    ???「だから気にしないで。」
    サナ「え、ちょっと……!」





    サナ「待って!」
    あ?
    サナ「ん……。」
    どうやらいつの間にか眠ってしまっていて、夢を見ていたらしい。うたた寝だった割にはあまり体が冷えていない理由は、すぐに分かった。ゆうべボールから出したままだったポケモンたちが、私のまわりに集まってくれていたのだ。
    サナ「もうっ、みんなかわいい寝顔だなぁ!」
    どうやら考えすぎだったみたいだ。この子たちは、私と一緒にいることをすでに自分から選んでくれていた。何も気にすることなんてなかったんだ。
    ミズノ「ミぃ……?」
    私が起きたのに気付いたのか、みんなが目を覚ました。
    サナ「さぁみんな、2つめのバッジに向けて今日は特訓だかんね!がんばるよ!」
    私の意気込みが伝わったのか、みんなが元気よく飛びはね返事をした。
    もう考え込むのはやめよう。この子たちを心配させたくないから。何よりも、私はこの子たちを信じてるから!



    〜予告〜
    "ためしいわ"での特訓。
    無数の野生のドッコラーを倒しレベルアップを重ねていくゴロロロ(ダンゴロ)。
    進化の時期が訪れるミズノ(ミジュマル)、ペローテ(ヨーテリー)、チョコロネ(チョロネコ)。
    満を持して挑むシッポウジムリーダー・アロエ。
    そして、みたび現れたプラズマ団。彼らが望む未来とは、果たして何を意味するのか。
    次回、「博物館の戦い!ジムリーダー・アロエ!!」



    乞うご期待




    補足

    2010年09月20日

    続けて第二話

    ※注意※
    ・このレポートは実話をもとにしたフィクションです。


    〜第二話〜
    ・マコモさんとのお別れ・


    マコモさんから頼まれた通り、さっきバオップをもらった"夢の跡地"に行くと、なるほどさっきは気付かなかったな。これが"いあいぎり"で切れる細い木か。
    サナ「じゃ早速、さっきつかまえたばかりのチョコロネ(ニックネーム)、いあいぎり!」
    ベル「あ、サナだぁ〜。」
    サナ「ん?お、ベルー!」
    ベル「サナもふしぎなポケモン探すの?」
    サナ「まねー。……あれ、チェレンは?」
    ベル「あ、うん。どうかな。わからないや。」
    サナ「そうなん?まいいけど。」
    ベル「それにしても夢をみせるって、どんなしくみなんだろね?」
    サナ「うん?」
    ベル「待って、いまなにか物音しなかった?」
    サナ「え?」
    ベル「壁の向こうの方。行ってみよ。」
    廃墟の奥、ベルの言った通りだった。私たちの前にピンク色の何かが浮いている。
    サナ「なにアレ。ポケモン?」
    ベル「あれがマコモさんの言ってたムンナなのかな。」
    サナ「あれが……。」
    Moonna.jpg
    ???「ムンナみっけ!」
    サナ「あ、アイツら。」
    プラズマ団とかいう、カラクサタウンにいたヘンな連中だ。ってオイオイ。ムンナを蹴ってるよ。止めないと!
    どうやら奴らの狙いも"夢の煙"らしい。それをムリヤリ出させるためにあんなこと……。
    ベル「あなたたちもポケモントレーナーなんでしょ!どうしてそんなにひどいことするの?」
    サナ「そうだぞ!"夢の煙"は私がマコモさんから頼まれてるんだ。オマエたちは帰れ!」
    したっぱA「そうはいかん。」
    したっぱB「邪魔をするなら痛い目みてもらいましょうか。」
    ベル「えええ!たすけてサナ!」
    まっかせなさい!


    したっぱB「くぅっ。邪魔された上に痛い目にあった。」
    したっぱA「だが"夢の煙"は手に入れなければならん。」
    サナ「こら!だから蹴るなっていうの!」
    ベル「やめたげてよお!」
    ???「何をしている?」
    どこからか聞こえてきた声。するとカラクサタウンで演説をしていたゲーチスという男が何ヵ所にも現れ、それを見たしたっぱ2人は顔を青くして逃げていった。気付けば、男ももうどこにもいない。
    ???「むにゃあ!」
    今度は何!?
    壁の陰から、ムンナによく似たポケモンが近付いてきた。頭から何か煙のようなものが出ている。
    ベル「今のゲーチスって人、あちこちにいたし本物じゃないよね。夢だったのかな?」
    サナ「さぁ……。」
    私にも何が何だかさっぱりだ。
    Moonshina.jpg
    その時、後ろの方からマコモさんの声が聞こえた。
    サナ「マコモさん!」
    マコモ「えへへ、待ちきれなくて来ちゃった。」
    あぅ、私はそんなに頼りないですか。
    マコモ「ってムシャーナ!?」
    サナ「ムシャーナ?」
    その声に驚いたのか、ムンナとムシャーナは廃墟の奥へと姿をくらました。
    マコモ「何があったの?」
    ベル「実は……。」
    ベルはマコモさんに今起こった一部始終を説明した。
    マコモ「ふ〜んなるほどね。ムシャーナはね、ムンナが進化したポケモンなの。ムシャーナは夢を現実にするちからがあると言われているわ。仲間であるムンナを助けるために、きっとそれをそれを使ったのね。」
    そういえば、さっきのしたっぱも同じようなことを言ってたな。"夢の煙"で人々の考えを操るって。……一体何を企んでいるのだろうか。
    マコモ「ってあれ?ちょっと!」
    サナ「どうしました?」
    何かに気付いたマコモさんは、さっきまでムンナたちがいた場所に駆け出した。
    Makomo_04.gif
    なんと!?
    マコモ「これでアタシの研究が完成するわ!!」
    ベル「本当ですか?よかったですね!」
    マコモ「ええ!よ〜し、さっそく作業に取り掛かるわよ〜。アナタ達あとでアタシの家に来てね−!!」
    ベル「は〜い!」
    サナ「……。」
    マコモさんはあっという間にその場から立ち去ってしまった。私はといえば、いまだにあっけに取られているような感覚だった。
    Bell_02.jpg
    サナ「うん。」
    プラズマ団の存在とポケモンを人間から解放するというその目的。
    ムンナ、ムシャーナ。"夢の煙"は手に入った。マコモさんの研究が完成する。それは喜ばしいことだ。けど、あれ?
    サナ「私なにもしてないじゃん!」
    ベル「わゎ!どうしたの急に?」
    サナ「いや。マコモさんから"夢の煙"を頼まれたのに、私なにも貢献してないなーって。」
    ベル「そんなことないよ。あの"夢の煙"、きっとサナがムンナを助けて、そのお礼に置いて行ってくれたものだと思うな。」
    サナ「そっかなぁ。……うん、そうかもね。」
    ベルに言われると、なんだかそんな気がしてきた。
    サナ「よっし!じゃあマコモさんのところに戻ろうか。」
    ベル「あ、サナは先に行ってて。あたしはさっきのポケモンを探すんだ!」
    サナ「そ?じゃあそうする。がんばってね。」
    ベル「ありがと、またね。」


    かくして、マコモさんの部屋に戻った私は"Cギア"という道具をもらった。ひとことで説明するなら、夢と現実の世界の架け橋になる道具らしい。一応一通りの使い方を教わったけど、機械の使い方は使って覚える私。とりあえず後でいろいろいじってみよう。
    あと、ずっと部屋の奥で作業をしていた女の子に自己紹介されたけど、このショウロという彼女はパソコンのポケモンあずかりシステムの管理をしているらしい。歳は私よりも上だろうけどそんなに違わなさそうなのに、やっぱりマコモさんの妹ってだけあってすごいんだなぁ。
    ……ん、待てよ?カラクサタウンで「だれかのパソコンって誰のパソコン?」ってベルが聞いていたのをアララギ博士、適当にはぐらかすように説明してたけど……。知り合いだからってめんどくさがったな?
    Who_is_who.gif

    マコモ「それじゃあ、冒険がんばってね〜。」
    サナ「ありがとうございます。マコモさんも研究がんばってください!私、応援してますし、また何かあれば呼んでください。ライブキャスターはいつでもオンにしているので!」
    マコモ「ありがと〜、またねー!」
    幾分もの名残をおし切って、私は次の街を目指した。3番道路へ踏み出し、目指すはシッポウシティだ。



    補足

    ノリで作ったら予想以上の大作になってしまった。

    ※注意※
    ・このレポートは実話をもとにしたフィクションです。
    ・以下はホワイト主人公、サナの視点によるポケモンレポートです。
    ・主人公の科白やそれとの会話、その他一部シナリオには脚色と想像と妄想と変更が入り交じっており、オリジナルのものとは若干違います。
    ・当レポートによりキャラクターのイメージを損なう恐れがありますので、ご覧の際には十分にお気を付け下さい。
    ・なお、このレポートにはネタバレも含まれております。自己責任によりご覧下さい。


    〜第一話〜
    ・マコモさんとの出会い・


    ベル「最初の一歩はみんなで一緒に!」
    そうしてカノコタウンから旅立った私たち3人。
    その1番道路から2つ目の街、カラクサタウンまでの道中、博士は基本事項をレクチャーしてくれて、カラクサのポケモンセンターの案内をしたあと研究所へと戻っていった。
    アララギ「あそうだ。次の街に着いたらマコモって発明家に会うといいわ。」
    去り際にそう言って、これでいよいよ私たちだけの旅の幕が開けた感じがした。
    発明家のマコモさん……どうやら博士の友だちらしい。どんな人かな。博士みたいなマダムな感じ?ひょっとして、研究所にあった写真に写ってた男の人かな。
    Araragi's_Labo.jpg

    2番道路でトレーナーとポケモンバトルをしていると、あっという間に3つ目の街、サンヨウシティに到着。
    サナ「マコモさんとやらはどこにいるのかな。……よし、手前の建物から当たってみるかぁ。」
    Makomo's_brother.gif

    いきなりビンゴだよ。
    それはともかく、「マコモねえちゃん」ということは女の人か。今はまだ会えないみたいだし、とりあえずジムでも潰そかな。
    街をあちこち散策していると、東側に"夢の跡地"というちょっと薄暗い廃墟のような場所を発見。そこで優しいお姉さんから炎タイプのバオップを貰った。見知らぬトレーナーにポケモンくれるなんて、珍しい人もいるのね。
    Dream_Site.jpg
    サナ「さて。手持ちも増えたしそろそろジムに行こうかな。」
    ジムには3人のジムリーダー。どうやら最初にもらったポケモンのタイプに大して強いタイプのポケモンを使うらしい。ミジュマルを選んだ私の相手は、草タイプの使い手デント。さっきもらったバオップの大活躍で難なく撃破。チョロいもんね。
    3人の中では一番立場が弱そうだったデントから初めてのジムバッジと技マシンを貰いジムの外へ。すると目の前に、長い黒髪を白衣と共になびかせながらひとりの女性が立っていた。
    サナ「ドストライク!」
    Makomo_01.gif
    ???「あ。」
    私に気付いた彼女は私の前までやや小走りでやって来た。そして眼鏡を直しながら、
    Makomo_02.jpg
    と名乗る。
    サナ「あなたに会うためにこの街へ来ました。」
    マコモ「そ、そう?ありがとう。」

    どうやらマコモさんも私たちのことは博士から聞いているらしく、話の感じからするとチェレンとベルにはもう会っているようだった。私がジム戦にかまけている間にふたりとも抜けがけするなんてね。ベルはともかくとしてチェレンめ、次に会ったらポケモンバトルで容赦なく叩いてやる。

    マコモ「サナさん?」
    サナ「はい!」
    マコモ「アナタたちイッシュ地方の全部のポケモンに会うんだってね?大変でしょ。がんばってね。」
    サナ「…………。」
    あなたの為にがんばりたい!
    サナ「ありがとうございます!マコモさんも何かあれば私に言ってください。チェレンなんかよりよっぽど役に立ちますから!」
    マコモ「まぁ、たのもしいわぁ。……さてと。」
    Makomo_03.jpg
    なんですと!?
    マコモ「さ、上がって〜。」
    ちょ、ちょ、ちょっと待ってマコモさん。私たちまだ初対面ですし、さすがに心構えというか、いろいろ捨てるべきものをまだ捨ててないというか……!!
    サナ「喜んで!」





    マコモ「で、その秘伝マシン。中には"いあいぎりが入っていて、道にある細い木を切れるのね。今まで行けなかった場所に行けたりしちゃうの。どう?すごいでしょ。」
    サナ「あ、ハイ。すばらしいです。」
    マコモ「どうしたの?なんか元気なくなってる?」
    サナ「いえ。ただなんというか、とりあえずモグリューの穴があったら入りたいです。」
    マコモ「???」
    部屋に入りマコモさんは自己紹介の後、
    「アララギ博士からアナタ達をサポートするように頼まれたんだ――」
    と言い、さっきの秘伝マシンを私にくれた。そういえば、ジムの前で渡したい物があるから付いて来てって言ってたかも。つい意識の外だったけど……。
    そりゃそうだよね。ああ恥ずかしい。
    マコモ「さて、アタシのサポートはここまで!で、ここからはお願いなんだけどね。」
    サナ「はい、なんでしょう!」
    マコモ「おぉ、やっぱりたのもしいね。」