サナ「アララギ博士!?お久しぶりです。」
〜第九話〜
・到着!アミューズメントシティ・
ヒウンシティから続く砂漠の4番道路を越え、次のライモンシティへのゲートに入ったところでアララギ博士が待っていた。
アララギ「どう?ポケモン図鑑の調子は。」
サナ「ええ、まぁそこそこだと思います。」
アララギ「それは何よりだわ。ところで聞いたんだけど、ベルの件。大変だったわね。」
サナ「はい。でも大丈夫です。ベルも私も、強くなってますから。」
アララギ「あら、頼もしいわね。あ、それでね。アナタ達に渡したいものがあるの。はいコレ。」
手渡されたのは黒と金色でデザインされたモンスターボール。なんだかデザインがカッコいい。
アララギ「ハイパーボールっていってね、スーパーボールよりも捕まえやすい高性能なボールなの。ワタシからのちょっとしたお小遣いね。」
サナ「もしかしてこのためにずっと待ってたんですか?」
アララギ「まあね〜。元々カミツレに呼ばれたからなんだけど、ここで待っていれば、街の中よりもアナタ達に会える確率は高いでしょ?……あ、それとこれは他のふたりには内緒ね。」
サナ「……?チケットですか?なんの?」
アララギ「リバティチケット。リバティガーデン島って島に行く船の乗船券。」
サナ「船の?」
ということは。
アララギ「そう。ヒウンシティから出てるわ。……うん。言いたいことは分かるわ。でも手に入ったタイミングが悪くてね。ホラ!マコモって覚えてる?サンヨウシティの。」
サナ「ええ、もちろん。」
アララギ「彼女、夢の研究してるでしょ?前々から学会からは期待されていて、先日の完成を機に表彰受けたのよ。ソレはその副賞。だけど、彼女がなかなか研究のこと以外では出不精でね。それで一番強く携わってくれたアナタにって頼まれたの。」
つまりこれはマコモさんから私へのプレゼント!
アララギ「期限はないみたいだけど、そうね。せっかくあそこに行くんならあったかい時期の方がいいわよ?避暑地で人気な島だから。」
ならなんでこの寒い時期に学会はくれたんだろう。
アララギ「副賞はいつもそれなのよ。」
さいですか。
アララギ「じゃあアタシからは以上ね。何か質問とかある?」
サナ「いえ。ありがとうございました。」
アララギ「さてと。あとはベルだけね。」
サナ「ということは、チェレンはもう?」
アララギ「ええ、一番乗りだったわ。」
シッポウシティ以来全く会っていないけどアイツ、ヒウンでの事件知ってるのかな。
チェレン「ああ、それならベルから聞いたよ。」
サナ「そうなんだ。」
街に入ってからライブキャスターでメガネにクセ毛のアンチクショウに連絡を取ると、相変わらずドライな回答だった。
サナ「ところでアンタいまどこなの?」
チェレン「ライモンジムでボルトバッチを手に入れたところさ。サナ、あとで勝負しよう。」
サナ「んー、気が向いたらね。」
そこで通信を切ると、何やら人だかりができているのに気付いた。近くを通りながらさりげなく覗いてみると、プラズマ団がふたり。おじいさんに絡んでいた。
したっぱ1「話の通じないじいさんだな。いいからよこせと言っている。」
じいさん「主らこそ分からん奴らじゃの。断固として渡さんと再三言っておろうが。」
なるほど。助けたいけど助けられない。これはそんな人だかりか。
サナ「はぁ。メンドーだなぁ。」
おっと、アイツの口ぐせがうつったかな。
したっぱ2「仕方ないですね。では力づくで頂くとしましょう。」
サナ「は〜い、そいじゃそのケンカ私が買いましょう。」
したっぱ2「どなたです?」
サナ「通りすがりのアンチプラズマ団!」
ブイ!とVサイン。
したっぱ2「愚かな。我らが王の理想を理解しないとは。いいでしょう。あなたを倒して我々の正しさを示すとしましょう。」
したっぱ1「バカな!」
したっぱ2「なぜ、なぜ敗れる!?」
サナ「はいはい。その捨て台詞は前に別のプラズマ団から聞いたから、とっととおうちに帰りなさい。」
したっぱ2「ふんっ。覚えていなさい。あなたがどう足掻こうともいずれ我らが王の理想は達成され、あなたは何もかもを失うでしょう。その日をどうかお楽しみに。」
じいさん「いやはや助かったよって。戦わせるポケモンの手持ちはなかったもんでどうしようもなかったとこじゃて。」
とは言いつつも、よく見れば腕の筋肉がすごい丈夫そうで、ドンとしたおじいさん。肉弾戦では敵無しなんじゃないかと思うくらい。……助けなくても勝ってたかも知れない。
サナ「いえいえ。アイツら倒すのは、なんていうかもう日課みたいなものなんで。」
じいさん「そうか!よっし。助けてもらった礼にほれ、これを持って行きんしゃい。」
そう言って持たされたのは大きなタマゴだった。
サナ「重っ。」
じいさん「そりゃポケモンのタマゴじゃがさっきの子童どもはこれを狙っとった。何のタマゴかは孵ってからのお楽しみじゃて。それとついでにこれもやろう。」
自転車を手に入れた!
じいさん「都会をサイクリングで洒落込もうと思ったが、いやはややはり慣れんことはするもんではないの。ロクな目に遭わん。」
サナ「えっと、いいんですか?こんなに。自転車なんて高そうだし。」
じいさん「子砂利が大人に気ぃ使うもんじゃないよって。素直に貰っておきんしゃい。そいではの、わしゃ帰るわ。3番道路で育て屋やっちょるで暇があったら寄っとくれ。」
そういって立ち去るワイルドな育て屋のおじいさん。まさか歩いて帰るのかな。砂漠を越えて橋を渡って森を抜けて、その間に街ふたつ……。ここから3番道路までかなりの距離あるんだけど……。
???「あ、サナー!」
サナ「ん?」
うらばなし